総合診療科
総合診療科
General Medicine
総合診療科担当獣医師:葉山俊
食欲不振、嘔吐、慢性下痢などの内科疾患や、腫瘍疾患などの診療を担当いたします。CTや内視鏡を用いた診断から、外科治療、入院による内科治療、抗がん剤治療など幅広い治療の選択肢を持って疾患に対応いたします。専門的な診療が必要な場合は、当施設の専門診療科と提携して治療に当たります。ご要望により、検査や診断のみを行う事も、セカンドオピニオンにも対応いたします。

医師紹介
DOCTOR REFERRAL
診療症例
CASES


症例① トイプードル 13歳 去勢雄
主訴:下顎皮膚からの持続する排液
経過:6年前より下顎皮膚中央部から持続的な排液が認められ、6年間抗生剤、ステロイド内服で管理していたが精査の為紹介受診。
来院時所見:下顎皮膚直径3cmの範囲で膨隆が認められるが、硬結は認められない。膨隆部の中央に直径3mmの皮膚欠損が認められ、そこから透明で薄い赤色の、やや粘性のある漿液が持続的に排出していた。食欲や活動性に問題なし。口腔内の歯石沈着はごく軽度で、歯周病ステージ1~2。
診察内容:CT検査を実施。右下顎骨第1後臼歯の根尖端の顎骨の融解と、その腹側に接する40×25×7mmの嚢胞状腫瘤が認められた。唾液腺の導管とは離れており、唾液粘液嚢胞の可能性は低い。
右下顎骨第1後臼歯の根尖部膿瘍と判断し、右下顎骨第1後臼歯抜歯、および下顎皮下腫瘤を皮膚ごと摘出。摘出皮膚の病理検査では慢性化膿性炎症との結果を得た。
術後経過は良好で、2週間後には下顎および口腔からの漿液排出は認められなくなり、診察を終了した。
所感:口腔内の外観上では歯周病は軽度であり、外観から根尖部膿瘍を疑う事は難しかったが、CT検査により病変部位がはっきりと分かり、問題が歯周病である事と、抜歯すべき歯がはっきりと分かった。抜歯の際に、該当の歯は歯槽骨融解がほとんど認められず、抜歯に時間を要したが、歯周病原因菌が歯根膜に沿って垂直に浸潤し、根尖部に原曲した病変を形成した事が予想された。
総合診療科では、腫瘍症例、内科症例を中心に、CTや内視鏡を用いた診療を行っております。消化管異物、リスクの高い症例の不妊手術なども対応いたします。
また、今回のレポートのような歯科症例も対応しております。CTを用いた診断から、難抜歯、猫の全額抜歯なども対応しております。
ご紹介をお待ちしております。



症例② ジャックラッセル・テリア 12歳 去勢雄
主訴:元気・食欲低下
経過:本日から元気がなく、活動性が顕著に低下している。食事は食べるがゆっくりと食べるとの事で当院夜間救急を受診。既往歴なし。
来院時所見:意識状態はやや沈うつ。粘膜色蒼白。血圧は正常(134/88/71)
診察内容:腹部エコーにて腹水を認める。腹水は血様腹水であり、HCT44.30%。血液検査では、HCT32.2%と、貧血状態が認められました。
CT検査を実施。膀胱の左側には腹膜もしくは脂肪から発生した腫瘤を認め、血腫もしくは血管肉腫が疑われました。肺には3㎜と1mmの転移を疑う結節が認められ、脾臓には15㎜以下の複数の結節が認められました。
来院の翌日に摘出手術を実施。腫瘍は膀胱や尿道、腹膜へ癒着しており、それらを剥がして摘出いたしましたが、マージンを確保出来ていない可能性がありました。また、脾臓摘出は手術時間短縮の為、見送りました。
覚醒は良好で、数日間の入院の後に元気に退院していきました。腫瘍の病理検査では、血管肉腫との診断でした。抗ガン剤治療について相談いたしましたが、選択されませんでした。
術後2ヵ月後、食欲低下のため再検査したところ肝臓および脾臓に腫瘍転移が認められました。再度の外科手術は不適応と判断し、緩和ケアを行って参りましたが、残念ながら術後3ヵ月後に、腹腔内出血が原因で斃死いたしました。
所感:血管肉腫による血腹症例です。エコーにて脾臓と肝臓に腫瘍が認められず、責任病変の追求のためにCT検査を実施いたしました。CTにより腫瘍の転移が認められましたが、QOLの向上を目的に外科手術を実施しました。術後はしばらく元気にしておりましたが、3か月後に転移が顕在化し再度血腹になり亡くなりました。血管肉腫は根治が難しく、余生をいかに大切に過ごすかが重要になります。飼主様には辛い状況ですが、それでも残り僅かの時間を有意義に過ごして欲しいといつも考えます。
総合診療科では、上記のような腫瘍症例、内科症例を中心に、CTやエコー、内視鏡などを用いた診療を行っております。患者様一人一人に適切な治療を提案させていただき、最後まで動物たちに寄り添う医療を提供させていただいております。
ご紹介お待ちしております。
獣医師の先生方へ
FOR VETERINARIAN
